不在、行方不明遺産分割協議が有効に成立するためには、遺産分割の内容について、相続人全員が合意する必要があります。したがって、相続人の中にどうしても連絡のつかねい方がいらっしゃるような場合であったとしても、その人を除いて他の相続人だけで遺産分割協議をすることはできません。

このような場合には、家庭裁判所において、行方不明の方については不在者財産管理人を選任したうえで遺産分割協議を行う方法か、または、その行方不明者について生死不明の状態が一定期間を経過しているときは、失踪宣告の申立をして、その方が亡くなったものとして遺産分割協議を進めるという方法があります。

ーまずはできる限り探してみるー

不在者財産管理人の選任、または失踪宣告の申立のいずれの手続きをとるにしても、手続の前に、戸籍謄本で生死を確認し、生存しているようであれば、できる限り探してみる必要があります。具体的には、次のような方法があります。

行方不明者の住民票や戸籍の附票を取り寄せ、住所の移動を確認する
確認した現在の住所地に書留郵便で手紙を出してみる(宛先不明で返送されるかどうかを調べる)
実際にその住所地に行ってみる
友人や近所の人、親戚などに聞いてみる
これで連絡がとれれば、その連絡がとれたご本人と遺産分割のお話をすればよいことになります。反対に、探しても見つからない場合に、不在者財産管理人と失踪宣告の2つの手続きについて検討することになります。

なお、行方不明者を探す際に取得した戸籍の附票や宛先不明で返送されてきた郵便物などは、その後の裁判所への申し立ての際の資料として使用いたしますので、大切に保管しておいてください。

不在者財産管理人の選任

不在者財産管理人は、不在者の財産を管理・保存するほか、家庭裁判所の許可を得たうえで、不在者に代わって遺産分割協議に参加したり、財産を処分したりすることができます。

したがって、行方不明の相続人がいる場合であっても、不在者財産管理人を選任する手続きをとれば、遺産分割協議を進めることができます。

不在者財産管理人選任の流れ

■1.必要書類の収集

申立に必要となる戸籍謄本等や不在の事実を証する資料、不在者の財産に関する資料などを収集します。

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■2.候補者を決める

必要書類の収集と並行して、不在者財産管理人の候補者を決めます。不在者財産管理人になるのに特別な資格は必要ないですが、職務を適切に行える人である必要があります。

なお、不在者財産管理人は、不在者との利害関係の有無などを考慮してふさわしい人を裁判所が判断しますので、候補者を挙げたからといって、その人が必ず選ばれるというわけではありません。

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■3.家庭裁判所へ申立書を提出

申立書を作成して、家庭裁判所へ提出します。提出先は、不在者の従来の住所地または居所地を管轄する家庭裁判所です。

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■4.裁判所での審理

裁判所から、申立人や候補者に対する照会があります。多くの場合、照会書が郵送されてくるので、それに回答する形になります。場合によっては、裁判所での面談が実施されることもあります。

また、不在者が本当に不在なのかなどについても、裁判所で調査がなされます。

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■5.不在者財産管理人の選任

選任された不在者財産管理人は、不在者の財産の調査をし、財産目録を裁判所へ提出します。

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■6.権限外行為許可の申立て(遺産分割協議)~職務継続

不在者財産管理人が遺産分割協議に参加するためには、家庭裁判所の許可が必要になります。許可が出たら、遺産分割協議に参加し、協議書に署名・捺印をします。

なお、不在者財産管理人の職務は、申立のきっかけとなった目的(遺産分割協議など)を果たしたとしても、それで終了するものではありません。不在者が戻ってきた・死亡が確認された・財産がなくなったなどの一定の事由が起こるまで、不在者財産管理人の職務は続きます。

不在者財産管理人に関する書類作成の費用

関司法書士事務所では、不在者財産管理人の選任申立てに関する書類作成のご依頼を承っております。
当事務所における不在者財産管理人選任申立の書類作成費用につきましては、以下のとおりです。

■不在者財産管理人の選任申立書類の作成

・司法書士報酬 60,000 円(税抜)

・実費分
収入印紙 800円、予納郵券 2,400円(名古屋家裁に申立ての場合)、予納金(※)など

※裁判所が、不在者の財産管理人を申立書に記載した候補者からは選任せずに、弁護士や司法書士等の第三者から選任する場合において、不在者の財産が少なくて、その財産から管理人の報酬を払える見込みがないときには、裁判所に対して50万円ほど(名古屋家裁の場合)の予納金を納める必要があります。

■権限外行為の許可申立書類の作成

・司法書士報酬 30,000(税抜)

・実費分 収入印紙 800円、予納郵券代など

失踪宣告

失踪宣告とは、行方不明者について生死不明の状態が一定期間継続した場合に、その家族や債権者等の利害関係人が家庭裁判所に対して請求することにより、行方不明者の死亡を擬制して、利害関係人の法律関係の安定を図る制度です。

失踪宣告がなされると、以後、その人は死亡したものとして、財産関係や身分関係についての手続きを進めていくことになります。

失踪宣告の種類

■普通失踪

不在者の生死が7年間明らかでない場合に申し立てることができます。

普通失踪の宣告を受けた人は、7年の期間が満了した時に死亡したものとみなされます。

■特別失踪

戦争や船の沈没、飛行機事故、震災などの危難に遭遇した人の生死が、その危難が去ってから1年間明らかでない場合に申し立てることができます。

特別失踪の宣告を受けた人は、危難の去った時に死亡したものとみなされます。

失踪宣告手続きの流れ

■1.必要書類の収集

不在者の戸籍謄本や不在を証する資料(捜索願受理証明書・宛先不明で返送されてきた不在者宛の手紙など)を揃えます。

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■2.家庭裁判所へ申立書を提出

申立書を作成して、家庭裁判所へ提出します。提出先は、不在者の従来の住所地または居所地を管轄する家庭裁判所です。

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■3.裁判所での審理

裁判所から、不在者について、申立人や不在者の親族に照会がきます。多くは、書面での照会ですが、場合によっては、裁判所で直接話を聞かれることもあります。

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■4.公示催告

家庭裁判所が、次の事項を公告します。

  1. 不在者について失踪宣告の申立てがあったこと
  2. 不在者は、一定の期間までにその生存の届出をすべきこと
  3. 前号の届出がないときは、失踪宣告がされること
  4. 不在者の生死を知る者は、一定の期間までにその届出をすべきこと

なお、上記公告期間は、普通失踪の場合は3ヶ月以上、特別失踪の場合は1ヶ月以上となります。

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■5.失踪宣告

公告期間内に不在者が生存している旨の届出がないと、家庭裁判所が失踪宣告をします。

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■6.失踪宣告の審判確定

失踪宣告から2週間で、失踪宣告が確定します。

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■7.失踪の届出

申立人は、失踪宣告の確定後10日以内に、不在者の本籍地または申立人の住所地の市町村長へ届出をします。届出には、審判書謄本と確定証明書が必要になります。

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■8.遺産分割協議等の手続き

不在者は、法律上は亡くなられたものとして、各種の手続きを行います。

失踪宣告の申立書類の作成費用

関司法書士事務所では、失踪宣告の申立書作成のご依頼につきましても承っております。
当事務所における失踪宣告の申立書類作成費用につきましては、以下のとおりです。

■司法書士報酬 50,000(税抜)

■実費分
収入印紙 800円、予納郵券 4,692円(名古屋家裁の場合)、官報公告料 4,298円