登記名義人の住所変更、氏名変更

登記名義人とは、不動産の登記記録に、その不動産についての現在の所有者や抵当権者等として記録されている者のことをいいます。

1つの権利につき、お一人の方が単独で登記名義人として記録されていることが多いですが、夫婦や親子間で不動産を共有しているような場合では、登記名義人として複数の方が記録されていることもあります。

登記名義人は、その氏名(法人の場合はその名称)と住所をもって特定します。そして、登記名義人の氏名・住所、法人の場合には名称・本店等に変更が生じたときに、現在の登記名義人の正確な表示を公示するために行う登記を、登記名義人の表示変更登記といいます。司法書士などはこれを略して名変(メイヘン)登記ともいいます。

名変登記が必要となる場合

不動産の権利に関する登記について申請がなされたときは、登記官は、申請が法定の要件を満たしているかを審査して、要件を満たしていれば登記を実行し、満たしていなければ申請は却下されることになります。

この登記官による審査は、申請書類と登記記録により形式的に行われることになっています(形式的審査主義)。

つまり、売買、贈与、遺贈等を原因とする所有権移転や抵当権設定等の登記について、申請書類(登記原因証明情報や印鑑証明書等)における当事者の住所・氏名が登記記録上のものと合致しないときは、申請は不適法なものとして却下されることになります。

したがって、不動産の名義人が、引っ越しにより住所を移転したり、結婚や離婚、養子縁組により氏名を変更したり、また、会社などの法人の場合で商号変更や本店移転をしたりして、住所・氏名(名称)が登記記録上のものと異なるようになったときは、所有権移転や抵当権設定の登記を行うための前提として、この名義人についての名変登記が必要となります。

申請の必要書類

登記名義人の住所変更、氏名変更の登記を申請する際には、住所や氏名等の変更を証明する公務員が職務上作成した書類が必要となります。

・住所を移転した場合
住民票または戸籍の附票(※)
※戸籍の附表等が保存期間の満了等により入手することができず、公文書のみで申請人と登記名義人の住所の関連がつかない場合は、申請人と登記名義人の同一性を明らかにするために、申請の目的となっている不動産の「権利証(登記識別情報、登記済証)」や、申請人が自己の住所の変遷を記載して実印を押印した「上申書」と申請人の「印鑑証明書」などの書類も必要になります。

・氏名が変わった場合
戸籍謄本および本籍地が省略されていない住民票

・住居表示の実施がなされた場合
住居表示実施証明書または住居表示実施の記載のある住民票

・会社が商号変更や本店移転をした場合
会社の登記事項証明書

手続き費用

名古屋市の関司法書士事務所に、登記名義人の表示変更手続きをご依頼いただいた場合の費用は、以下のとおりです。

■司法書士報酬 8,800(税込)(※)

■実費分
・登録免許税 不動産の数1個につき1,000円
・事前調査 不動産の数1個につき332円
・完了後の証明書 不動産の数1個につき480円
・その他 郵送料等

※不動産の個数が多い場合や、不動産を管轄する法務局が複数になる場合には、上記司法書士報酬に一定額を加算いたします。その際はご依頼いただく前にお見積りをご提示いたします。

登記名義人表示変更のポイント

不登記名義人の住所や氏名(名称)の変更登記は、これにより不利益を受ける利害関係人がいることは考えられないので、共同申請主義(※)の例外として、登記名義人が単独で申請することができます。

※共同申請主義…不動産の権利に関する登記の申請は、登記の真正を担保するために、登記をすることによって直接利益を受ける「登記権利者(例:売買による所有権移転における買主)」と直接不利益を受ける「登記義務者(例:売買による所有権移転における売主)」が共同で行わなくてはいけない原則のこと。

申請にかかる登録免許税額は、原則として、不動産の数1個につき1,000円となります。たとえば、土地付き一戸建ての登記名義人の住所変更をする場合、対象となる不動産は土地と建物の2個となりますので、登録免許税額は2,000円です。ただし、住所が変更となった原因が引っ越しではなく、住居表示の実施や町名地番変更などの行政側の措置によって変更された場合には、登録免許税は免除されることになります。

登記名義人が住所等を数回にわたって変更した場合であっても、その中間の変更登記を省略して、1回の申請で直接現在の住所等に変更することができます。この場合の申請書には、すべての登記原因およびその日付を記載するのが原則ですが、同種の変更原因があるときは、その最終の変更原因およびその日付のみを記載することになります。