相続登記の必要書類不動産を相続するケースとしては、「1.遺産分割協議により相続人の1人が相続する」「2.法定相続により相続する」「3.遺言により指定された者が相続する」の3つが一般的です。

本ページでは、不動産相続における一般的な上記3つのケースで、相続登記を申請する際に必要となる書類について記載しています。

目 次

1.遺産分割による相続登記の必要書類

遺産分割により不動産を取得する場合における相続登記の申請では、管轄法務局に以下の書類を提出する必要があります。

  • ① 登記申請書
  • ② 被相続人(亡くなられた方)の出生から死亡までの戸籍等謄本
  • ③ 登記名義人と被相続人が同一人であることを証する書類
     (被相続人の住民票除票(本籍記載のもの)または戸籍の附票)
  • ④ 相続人全員の戸籍謄本または抄本
  • ⑤ 遺産分割協議書
  • ⑥ 相続人全員の印鑑証明書
  • ⑦ 不動産を取得する相続人の住民票等
  • ⑧ 固定資産税評価証明書等

① 登記申請書

相続登記に限らず、登記申請をする場合には、所定の事項を記載した申請書を作成しなければなりません。

法務局のサイト(http://houmukyoku.moj.go.jp/homu/minji79.html )に、「登記申請書の様式及び記載例」がありますので、これを参考にして作成することができます。

② 被相続人の出生から死亡までの戸籍等謄本

被相続人の法定相続人の範囲を証明するため、被相続人の死亡から出生までさかのぼって、戸籍謄本・改製原戸籍謄本・除籍謄本を取得する必要があります。

厳密には、被相続人の子がいる可能性がない年齢まで戸籍等謄本をさかのぼれば、法定相続人の範囲を確定させるには十分なので、10歳未満までの戸籍等謄本が取得できていれば、それ以上さかのぼらなくても相続登記の必要書類としては足ります。

なお、兄弟姉妹が相続人となる場合は、さらに被相続人の父母の出生までさかのぼる必要があります。

また、代襲相続(相続人となるべき者が、被相続人よりも先に亡くなっているようなときに、相続人の子が代わりに相続人となる制度)が発生している場合は、被代襲者(先に亡くなっている相続人となるべき者)の出生から死亡までの戸籍等謄本も必要になります。

古い戸籍等謄本で、保存期間の経過による廃棄処分等により取得できないものがあり、出生までさかのぼれないときは、役所に「廃棄済証明書」等の「除籍等の謄本を交付することができない」旨の市町村長の証明書を発行してもらい、これを取得できた戸籍等謄本と併せて提出します。

③ 登記名義人と被相続人が同一人であることを証する書類

不動産の登記名義人は住所と名前で特定されているのですが、戸籍等謄本には住所は記載されていないので、登記名義人と戸籍等謄本に記載されている人物(被相続人)が同一人であることを証明するため、被相続人の住所と本籍の両方が記載された住民票除票または戸籍の附票を提出します。

登記記録に記録された登記名義人の住所と、住民票除票等に記載された被相続人の住所(従前の住所も含む)が一致することにより、登記名義人と被相続人が同一人であると証明されるわけです。

なお、登記名義人の住所と戸籍等謄本に記載されている被相続人の本籍が一致するときは、これだけで登記名義人と被相続人が同一人であると証明されますので、被相続人の住民票除票等の提出は不要です。

住民票除票等で同一人であることがあきらかにならない場合

被相続人の戸籍等謄本に記載されている本籍と登記記録上の住所とが異なり、さらに、被相続人が登記記録上の住所から複数回住所を変更していたり、相続発生から長い間たってから相続登記をするなどのために登記記録上の住所が記載された被相続人の住民票除票等が取得できず、戸籍等謄本・住民票除票等からは、被相続人と登記名義人の同一性が明らかにならない場合もあります。

このような場合は、相続登記を行う不動産についての被相続人名義の権利証(登記識別情報、登記済証)を提出すれば、相続登記の申請は受理されます。

もし、紛失等で上記の権利証が提出できないときは、管轄の法務局により多少異なりますが、「登記名義人と被相続人が同一人に相違ない」旨の上申書(相続人全員の実印による押印+印鑑証明書を添付)及び固定資産税関連の書類(課税明細付の固定資産税通知書や、備考欄等に不動産の表示が入った納税証明書など)をあわせて提出します。

④ 相続人全員の戸籍謄本または抄本

相続開始時に相続人であった(生存していた)ことを証するために提出します。
よって、被相続人が亡くなられた日以降に取得したものである必要があります。

被相続人や他の相続人の戸籍謄本に記載されている相続人については、重ねて提出する必要はありません。

⑤ 遺産分割協議書

遺産分割協議書には、相続人全員が実印で押印します。

⑥ 相続人全員の印鑑証明書

遺産分割協議書に押印した実印についての印鑑証明書を提出します。
なお、この印鑑証明書に期限の定めはありません(取得日が古いものでも大丈夫です。)。

⑦ 不動産を取得する相続人の住民票等

相続により不動産を取得される相続人の住所を証する書類(住民票、戸籍の附票、印鑑証明書)を提出します。
期限の定めはなく、取得日が古いものでもかまいません。

⑧ 固定資産税評価証明書等

相続登記の際の登録免許税の課税価格を証する資料として、相続登記を行う不動産について、登記申請する年度の固定資産税評価証明書を提出します。

市町村によっては、登記用で手数料が無料の固定資産評価(価格)通知書を発行してもらえるところもありますので、その場合は、こちらを提出すれば、相続登記にかかる費用を多少節約できます。

また、愛知県内の不動産であれば、登記申請する年度の課税明細書でもかまいません。

2.法定相続による相続登記の必要書類

法定相続により不動産を取得する場合における相続登記の必要書類の一覧は以下のとおりで、「1.遺産分割による相続登記の必要書類」から「⑤ 遺産分割協議書」「⑥ 相続人全員の印鑑証明書」が不要となるだけで、その他の必要書類の範囲は同じになります。

  • ① 登記申請書
  • ② 被相続人の出生から死亡までの戸籍等謄本
  • ③ 登記名義人と被相続人が同一人であることを証する書類
     (被相続人の住民票除票(本籍記載のもの)または戸籍の附票)
  • ④ 相続人全員の戸籍謄本または抄本
  • ⑤ 不動産を取得する相続人の住民票等
  • ⑥ 固定資産税評価証明書等

3.遺言による相続登記の必要書類

遺言による相続登記の必要書類の一覧は以下のとおりです。
遺産分割や法定相続による場合に比べて、提出する戸籍謄本等の範囲が少なくすみます。

  • ① 登記申請書
  • 遺言書(公正証書遺言以外は検認済のもの)
  • ③ 被相続人の死亡の記載がある戸籍等謄本
  • ④ 登記名義人と被相続人が同一人であることを証する書類
     (被相続人の住民票除票(本籍記載のもの)または戸籍の附票)
  • ⑤ 不動産を取得する人が相続人であることがわかる戸籍謄本等(※)
  • ⑥ 不動産を取得する相続人の住民票等
  • ⑦ 固定資産税評価証明書等

※「⑤ 不動産を取得する人が相続人であることがわかる戸籍謄本等」の範囲は、誰が相続人となるかによって変わります。

遺言で不動産を相続する者として指定された相続人が被相続人の子、配偶者の場合は、相続開始後に取得したこの相続人の戸籍謄本または抄本だけで足ります(相続人が被相続人の戸籍謄本に記載されている場合は、重ねて提出は不要です。)。

遺言で不動産を相続する者として指定された相続人が被相続人の親(第2順位の相続人)の場合は、第1順位の相続人である子がいないことを証するため、上記の相続人の戸籍謄抄本に加えて、被相続人の出生から死亡までの戸籍等謄本も必要書類になります。

遺言で不動産を相続する者として指定された相続人が被相続人の兄弟姉妹(第3順位の相続人)の場合は、第1順位の相続人である子がいないこと及び第2順位の相続人である直系尊属(父母、祖父母)がすでに亡くなっていることを証するため、相続人の戸籍謄抄本、被相続人の出生から死亡までの戸籍等謄本、被相続人の父母と祖父母が亡くなっていることが確認できる戸籍謄本も必要書類になります。

4.提出した書類の原本還付

原本還付とは、ある手続きのための必要書類として、原本を提出した書類を返却してもらうことです。

相続登記申請においては、戸籍謄本等や遺産分割協議書、印鑑証明書、遺言書などの書類の原本の提出が求められますが、これらの書類は相続登記以外の他の相続手続きでも必要書類となり、また、重要な証拠資料ともなりますので、通常、登記完了後に原本を返却してもらうため原本還付請求をします。

原本還付を請求するためには、原本と相違ない旨を記載し、記名押印をした書類のコピーを提出する必要があります。

また、戸籍謄本・改製原戸籍謄本・除籍謄本については、書類のコピーを提出する代わりに、相続関係説明図を提出することによっても原本還付請求をすることができます。